国交省近畿運輸局で意見陳述

 国土交通省の主催で「南海貴志川線廃止届に関する公衆の利便の確保についての意見聴取会」が近畿運輸局大阪合同庁舎において開催され、自治体と、住民の代表者5名が鉄道存続への思いを訴えました。
 “つくる”会の濵口代表も沿線線住民代表の一人として陳述を行いました。
 この様子はマスコミ(新聞、テレビ)各社も取材に訪れ、『住民、行政とも「廃線反対」存続で一致』と大きく報道されました。


発言内容については以下の通りです。

意見聴取の趣旨説明

 近畿運輸局鉄道部監理課 清水 課長より「平成16年9月16日南海電鉄提出の貴志川線廃止届について、鉄道事業法第28条2項に基づき、廃止後の公衆の利便について、地方公共団体、利用者の意見聴取をおこなうものである」とその主旨が説明され、小野鉄道部長を司会者として進められました。

各団体代表の発言要旨

貴志川線の未来を”つくる”会 濵口 晃夫 代表

 貴志川線は、90年の歴史をもち住民が育ててきた地域に根ざした鉄道である。鉄道会社の論理だけで一方的な撤退表明がなされたが、公共交通の使命をどう考えているのか。赤字だから、本線からはずれているから切り捨てる、住民への説明がなく、撤退後は行政、住民で考えよという南海の態度は、全くの無責任である。撤退で利益を得るのは南海のみである。バス代替は現在の道路事情から考えられない。
  貴志川線は、年間200万人もの利用者がある。廃線は、街の空桐化、地価の下落も考えられ、住民は不安になっている。行政にも、交通、道路、環境、教育、高齢者など問題を抱えることになり、住民、行政の負担は非常に大きい。貴志川線の便益は、100 数十億円に及ぶという試算もある。
 貴志川線という社会的資産を未来に残す必要がある。残すためには、今や行政の支援、決断にかかっている。廃止について、国の政策で許可制から届出制に変わった、鉄道として残せるよう指導と、国としての援助を要請する。
 鉄道は、道路と同じく人を運ぶ、鉄道に対する予算の拡大が必要である、道路関係予算と差があり過ぎる。財政事情厳しいこと理解するが、平等性という観点から強く求める。

【司会者】バス化は、渋滞、定時制の確保の観点からダメ。廃止を繰り上げることは認められない、そういう立場で良いか。

【浜口】そうだ。

貴志川町くらしと環境をよくする会 福場 俊二 幹事

和歌山県 高嶋 洋子 企画部長

 住民団体の存続への熱い思いを同じ思いで聞いた。存続を求める25 万人の署名があったが、その後の本年4月~10月間に利用者が3万4000人、月にして4900人も減っている、客観的にみて厳しい数字がある。今まで、鉄道を水や空気と同じように真剣に考えてこなかった。
  存続を叫ぶだけではだめで、知恵を出し、コストを負担する決意が必要。県、市、町、住民が、自ら何ができるか、考えなければならない。
 200万人の利用、無視できない、その存在は大きなものと認識している。県政の基本は、県民全体の幸福の追求である。県民の理解を得ながら取組みたい。先人の判断は正しかったといわれるよう最大限の努力していきたい。

【司会者】県としても重要な路線と考えている。生活路線の確保に最大限努力していく。廃止時期の前倒しは認められない、ということで良いか。

【高嶋】その通りです。

和歌山市 木村 哲文 企画部長

 和歌山市として、貴志川線は鉄道が最も適切な交通手段と考えている。
 90年の歴史を持ち、地域に密着した鉄道であり、重要な交通機関、生括路線であるとの認識をもっており最大限鉄道として残していきたい。
 経営形態について、第3 セクター化は避けたい。他の民間事業者の参入求めていきたい南海には、譲渡、運営ノウハウに協力を求めたい。新たな経営についての、許認可に国交省の格段の協力求めたい。

貴志川町 中村 慎司 町長

 どうしても、いかなる方法をとっても鉄道で進めたい。昭和36年南海に合併されたが、先人の築いてきた鉄道である。廃線は交通弱者、通勤、通学者の交通手段なくなる。廃線について、ゆとりある相談あるべきで、南海に不満がある。今の状態でバスへ置き換えることは不可能である。
 廃線は貴志川町だけの問題でなく、県の課題として考えてもらいたい。もし廃線となれば全国に波及する。環境面からも、いかなる方法を講じても鉄道を残したい。国交省、県のさらなる指導求めたい。


※和歌山市、貴志川町に対し、廃止時期の前倒しの是非について質問があったが、いずれもその意思はないと表明されました。

◆ 最後に司会の小野隆生鉄道部長は、「県、市、町、住民全体として、廃止時期の繰り上げは認めない、鉄道として残すことで意見が一致した」と、まとめを行い閉会しました。

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